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「取り急ぎ、受け取りの手続きを命じます」
執事の快刀乱麻はインカムで素早く部下に指示を出した。彼はこの仕事にやりがいを感じていた。ありとあらゆる問題を解決できる能力を兼ね備えた彼は、果報に降りかかる幸福をすべて処理することに達成感を覚えていた。こんなに退屈しない雇用主は果報くらいのものだ。至上の喜びと言ってもいい。
「お茶も淹れましょう。少々お待ち下さい」
執事はまた音もなく出ていった。閉まったドアをぼうっと見つめ、果報は先程告げられた1等の当選金額を思い出す。15億ドルだと電話の主は言った。約1700億といったところか。
また残高が増える。適当に寄付でもしようか。
果報の欲しいものは何でも手に入る。
どうとも思っていないものすら手に入る。
世界は一族にとってあまりにもイージーモードで、退屈で、だから果報は最近新たな望みを抱いていた。
「もうこれ以上お金はいらないのよ!
私は、私は……」
バン! とバルコニーに続く窓を開ける。
「謎を解きたいのーー!」
声は、東京ドーム20個分以上ある敷地に吸い込まれていった。
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