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食堂のドアを開けると、人は疎らで静かだった。
トレイを受け取り、沢山の美味しそうなおかずから好きなものをじっくりと選んで取る。のりおの持っているお皿を見あげると、こんもりと沢山のからあげや野菜炒めがのっていた。じっと見つめていると、のりおは、ちょっと顔を赤くした。
「食べ盛りなんだよ。これぐらい食べないと夜お腹がすいて大変なんだ」
俺は、顔をふって
「別に、恥ずかしいことではないと思うよ。こんなに食べられるなんて羨ましいと思っただけ・・・」
そう言って、俺は自分の食べられる量を調整しながら、じっくりとおかずを選んだ。暖かそうなスープとパンと少しばかりの野菜炒めをお皿に入れる。
「これぐらいで足りるの?」
とのりおは不思議そうな顔をしていたが、すぐに興味を失ったのかまた、おかずを選び始めた。
おかずを選び終えて窓際の席に座った。のりおと他愛もない話をしながらご飯を食べる。のりおは、体が大きいし、口も大きいから食べる姿も豪快で見ていてすごく気持ちがいい。そんなこといったら、のりおは少し乙女だから怒るかもしれないけれど、のりおの食べる姿は俺は好きだと思う。
のりおの姿を見ながら少しずつご飯を食べ進めた。あったかいスープが美味しくてたまらない。じんわり体の芯に染み渡る温かさをゆっくりと感じながら、食べ終えて一息ついていると、のりおは、小さなプリンをそっと俺のトレイに置いた。
「甘いものなら食べられるんじゃない?少し見ていて不安になっちゃうわよ」
そうのりおはうつむいてそういうと、何事もなかったのようにご飯を食べ始めた。ほっぺはほんのり赤くなっていて少し照れているようだった。
「ありがとう」
そう言って、のりおがくれたプリンを少しずつ食べ始めた。プリンはほんのり温かくて甘かった。
「美味しいね。」
そう言うと、のりおは食べる手を止めて、嬉しそうに笑った。
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