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もうすぐ夏休みだが、クラスでは、夏休み明けすぐにある体育祭の競技早めに決めることになっていた。
なんとしても、優勝したいらしい。
今は、学級委員長が黒板に今回体育祭で開催される行事を書き出している。
前の席に座っているのりおが振り向いて俺の机に片腕をおいた。
「鈴はどの競技に参加するの?」
のりおの声にびっくりして教科書から顔を思わずあげた。
のりおは、俺の顔をじっと見つめて顔を軽く傾かせている。
「まだ、決めていない。のりおは決めたのか?」
俺は、机に広げている教科書を見ながらのりおの答えを待つ。
「僕もまだだよ。まぁ楽な競技があったらそこに参加したいけどね…
暑いの嫌だなぁ。」
のりおは、眩しそうに眼を細めて外を見る。
教科書から顔をあげて、窓によりかかると、かすかに温かく、セミの声が聞こえた。
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