1年目【夏】

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夏休みが明日から始まる。 周りのクラスメイトが夏休みの話をする中、黙々と帰りの会を始める。 夏休みの予定を頭の中で組み立てながら、できるだけ有意義なものにしようと考えていた。 帰りの準備を終えて、スケジュール帳を眺めながら寮へ向かう。手帳にはぎっしりと勉強の予定で埋められていた。友だちとの予定など一切ない。 ちょっと寂しい夏休みになってしまったと落ち込むけど、勉強しないといけないし、一分一秒も無駄にできないから予定を入れなかったんだと自分に言い訳をしながら自分を励ましながら寮へ帰りを急いだ。 すると、のりおが走って追いかけてきて、俺に抱き着いてきた。その反動で、前に転びそうになったけれどのりおが片手で俺の体を抱き寄せて転ばないように体を支えてくれたので転ばないですんだ。転ばなくて安心をしたが、転びそうになった原因であるのりおをにらんだ。 のりおは、一学期の間ずっと仲良くしてくれたいいやつだ。最初は、ちょっとうるさいやつだと思ったが、グループ活動では、一緒のグループに入れてくれるし、一人でご飯を食べようとしている俺と一緒にご飯を食べてくれた。ぼっちにやさしい奴だ。 のりおは、ごめんと謝って、俺のスケジュール帳を覗き込み「うわぁ」と心底引いた顔をした。 「なんだ。言いたいことがあるんだったら言えよ」 とのりおを睨みつけると、のりおは「ごめん」と言って俺のスケジュール帳を眺める。すると、スケジュール帳の俺の唯一開いていた日を指さした 「この日一緒に遊ばない?」 と聞いてきた。嬉しくて思わず顔を上げて 「遊びたい!」 とのりおの顔を見ていった。のりおはびっくりしていたが、すぐ顔を赤くした。そして「貸して」と俺の手からスケジュール帳を取った。 のりおは近くのベンチまで走って自分のカバンの中からペンを取り出して俺のスケジュール帳に【諒と遊ぶ日】と書き込み、スケジュール帳を俺に乱暴にかえして、寮の方向へ駆けだした。けどすぐに止まって俺の方向へ振り返った。 「楽しみにしているからなー」 とのりおは大声で手を振ってまた走っていった。俺は、手を振り返してスケジュール帳を開いた。クラスメイトとの新しい予定に顔がにやける。 夏休みが楽しくなりそう。 そういえば、あいつ諒って言うんだ・・・・ 新たな発見をした。 寮に付くと、カバンから教科書を取って、いつも通り勉強を始める。 帰る家もないので、夏休みも寮で過ごす予定である。 明日も図書館へ行って勉強をする予定だ。24時間自主的な勉強をして過ごせるというとは夏休みとは素晴らしいものだと感激する。 ふとスケジュール帳を広げた。勉強ばかりの予定帳に一つだけ赤く描かれた予定が書いてある。ちょっと嬉しくなって足をバタバタさせた。 今日は、嬉しくて勉強に集中できなかったから早めに眠った。
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