1年目【夏】

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ご飯を食べて、風呂にゆっくりとつかった。 まだ昼だったけれど、汗が滝のように出ていたので、早めのお風呂だ。 普段部屋からあまりでないので、日焼けをした皮膚がじくじくと痛む。よく見るとうっすら赤くなっていた。 「明日は、皮がむけて痛いだろうな」 明日の事を考えるとぞっとするが、明日は明日考えようと足をゆっくりとのばす。 「今から、何をしようかな」 そう考えると、少しワクワクして嬉しい気持ちになる。 風呂からでると、手早く髪を乾かして服を着て、机に向かった。運動をしたあとだからか、頭がすっきりしていつもは、苦戦する問題もすらすらと解くことができた。 この調子で、頑張ろうと次の問題を解こうとすると、控えめにノックした音が聞こえた。しぶしぶ椅子から立ち上がり、ドアを小さく開けると、担任の轟先生が険しい顔をして立っていた。 「今日は、学校は休みのはずですが」 そう言うと、轟先生はさらに険しい顔をして頷いた。 「そうだな。確かに学校は休みだ。今生徒はほとんどが帰省している。」 え、帰れってことか。玄関に置いてあった寮の案内を見直したが夏休みは寮はしまるので帰れとは書いていなかった。 「寮は夏休みも滞在を許されているはずですよ。帰省するという義務はないはずです」 そういうと轟先生は、ため息をついた。 「俺は、帰れと言ったつもりはない。お前が、帰っているのか確認しに来たんだ。それと、俺と一緒に夏休みを満喫しようと誘いに来たんだ。これは授業の一貫であるから内申にはいるぞ」 そう言うと、轟先生は得意げに一枚の紙を俺に押し付けた。 「明日の午前10時に迎えに来る。忘れるなよ」 そう言うと足早に去っていった。 紙を見ると、高校生合同野外交流会と書いてある。県内の高校生同士で野外でご飯を作ったり、海で遊んだりして交流を楽しもうという行事だった。こんなものに参加してしまえば、勉強をする時間は少なくなってしまう。しかし、内申は欲しい。 勉強机に戻り、ため息をついて、お水を一杯飲んだ。 ペンを持ち、明日の分の勉強も終わらせるべく気合を入れなおした。
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