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幼馴染の秋穂 浪太だった。相変わらずムスッとしている。
浪太は、小学校から同級生で、叔母の家と近所に住んでいたこともありよく遊んでいた。中学校からは、浪太は柔道部に入り始めて、俺は帰宅部だったから帰る時間がバラバラでいつの間にか疎遠になっていた。中学校の時話したのなんて卒業式の日ぐらいである。
浪太は、目を細めて俺を見た。そのまま俺をしばらく見つめ、自分の首にかかっていたタオルを俺の頭にやさしくのせた。
「暑いだろ。なんで、交流会に参加した?」
「なんでって、内申点がもらえるからだよ」
「そうなのか」
そういうと、浪太は俺の腕をひっぱって、木の陰へ移動した。
「ここにいろ。」
なんで、そうなる。太陽に当たったぐらいで倒れるほどか弱くはない。と言い返そうとしたけれど、浪太は座って「あちぃ」と呟きながら太陽を見つめていたもんだから、いつも鍛えている浪太がこんなにバテているから今日は結構暑い日なんだ自分は普通なんだと安心した。
浪太の隣に座って足をゆっくりのばす。木の傍は、ひんやり気持ちいい。
「今日は、浪太は交流会に参加したの?」
「鈴がいる学校の生徒も参加するって聞いたからな」
え、驚いた。俺の事覚えていたんだ。浪太は、小学校のころは、仲良かったけれど中学生になってからは柔道一筋で俺のことなんて忘れてしまったと思っていたのに、そういえば俺の通っている学校ってエリートばっかりがいる学校だったな…、もしかしてエリートのつながりが欲しかったのか!
「へーそうなんだ。でも残念だったね。学校からは俺だけだよ。」
「そうなのか。」
「でも、俺から浪太に紹介できるクラスメイトなら一人だけいるぜ」
俺だってやれば、話せるクラスメイトなんてできるんだよ。そう自慢してやろうと顔を上げて浪太を見たら
「良かったな」
浪太は優しく微笑んだ。
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