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「なんで笑ってるんだよ」
「良かったなと思ってな」
浪太は満足そうにうなずき、立ち上がった。浪太は、何考えているのかよくわからないやつだった。小学校の頃はもうすこし素直で優しくてかわいかったのに…。
「先に行ってるぞ」
「じゃあ、俺もいく」
そう言って、慌てて立ち上がると浪太は、「やめろ、まだ休んでおけ」と言って首をゆっくりと振って、大きな手で、俺のうなじを優しくなでた。
「鈴、首赤くなってる。珍しい。長い間外に出たな」
「うん、そうだよ。40分ぐらい外に出てた。」
「日焼け止めは塗ったのか。」
「塗ってない。別にいらないでしょ。」
浪太はため息をついて、傍にあった自分のカバンから未開封の日焼け止めを取り出した。
「珍しいね、浪太。日焼け止め使うんだ。」
「そうだな。これ、もらっておけ。俺のはまだある。」
「え、ありがと。」
俺が受け取ったのを確認して、「しっかり塗れよ」と俺が日焼け止めを塗っているようすをじっくりと見つめていた。
「あんまり見な」
そう言いかけると、
「おーーい!秋穂どこにいる!」
浪太を呼ぶ声が聞こえる。浪太は、呼ばれているのに慌てる様子もなくゆっくりと声の方向へ向いて
「今行く」
俺と喋るときとは違った、おおきく響く声で、応えると
「おーーー!待ってるな」
と声が帰ってきた。
「先に行く、暑さになれたら参加しろ。」
そういうと、浪太は、呼んでいた声の主のところへゆっくりと移動していった。その後ろ姿は大きくてたくましく堂々としている。少しは急げよと思った。
少し休んだら、少しずつ暑さにも慣れてきたからゆっくりと俺も途中からであるが交流会へ参加した。
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