1年目【夏】

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寝て起きて、勉強して買い物をして、たまに短期のアルバイトをしてそうして過ごしていくうちに夏休みのただ一つだけの予定であるのりお改め諒と遊ぶ日が近づいてきた。遊ぶ日が明後日に迫った日大切なことに気付いた。そうだ、遊びに行く場所決めていない。 慌てて、どこ行きたいの?と諒にメールをする。しばらく待っていると、諒から連絡がきた。 『もう決めているから大丈夫だよ。任せてよ』 だって、かっこいい。そんな余裕のある返事を俺もしてみたい。分かった。楽しみにしてるなんて、返信してスマホを閉じる。俺は、友達と遊びに行くなんて小学生以来だと思い出す。今の高校生は、遊びに行くのにどういう恰好をするんだろうと思いインターネットで検索をした。すると、大人っぽい男の人がおしゃれな格好をしている写真がたくさん出てきた。 クローゼットを覗いてみるが、写真のような服は一着も持っていないし、そんなにおしゃれにも興味がないので、似たような服(ジャージ)しか持っていない。洋服を買おうと考えてもお金がない。しばらく考えて諒に電話を掛けた。諒は、息を荒らげながら電話に出た。 「なに?どうしたの」 「お前と遊びに着ていく服がなくてジャージしか持っていないんだ。」 「知ってるわよ。それぐらい」 「へ?」 「遊びに行く前の日に、私がサイズアウトして着ることができなくなった服を持っていくからそれ着なさいよ」 「いいの?」 「いいわよ。どうせ誰も着ないからね。」 「ありがとう」 そう言うと、諒は、「いいよ。」と笑って、 「じゃあ、明日会いましょ。たくさん洋服持っていくから覚悟しなさい」 そう言って、諒は一方的に電話を切った。 「話す暇も与えてくれなかった」 そうつぶやく。諒は、お金持ちの家の子だから遊びに行くときもおしゃれな場所へ行くと思ったから、場に合った服装を用意できない俺が隣に立つと恥ずかしいはずだから… 諒を言い訳をしようとしてやめた。諒と本当は遊びに行きたくない理由を友達の良くしてくれる諒に押し付けようとしてしまったことを恥ずかしく思った。本当は、諒と…諒とだけじゃなくて学校の同級生と遊びに行くことなんてしたことないからちょっとだけ嫌われてしまいそうで怖い。諒と約束してしまったのは、ちょっとだけ高校生らしいことしてみたいなんて嬉しく思ってしまったからだった。 でも、初めての事は怖くて怖くて仕方がないけれど、諒とだったら少しだけ楽しめる気がするのはなぜなんだろう、、、
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