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店員さんは、じっと俺を見つめるとすぐに料理を置いて厨房へ行ってしまった。
「今日はちょっと不機嫌そうね。」
そう言って、諒は注文したミートスパゲッティを食べ始めた。器用にくるくるとフォークにパスタを巻いて美味しそうに食べている。その様子を見つめながら、フォークを手に持ちオムライスを食べてみた。
「美味しい」
小さい声で、本当に小さい声でつぶやいてしまった。
「でしょう!彼の作るご飯はすごく美味しいの」
諒は、嬉しそうに微笑んだ。
「おい、やめろ」
店員さんが、少しだけ顔を赤らめてやってきた。
照れくさそうにこつんと諒をはたいた。
「あら、銃矢くん。」
そう諒が店員さんを見て嬉しそうに微笑んだ。
「丸聞こえなんだよ。お前たちの会話。」
「あら、聞こえてたの?じゃあ私の告白のお返事考えてくれた?」
「未成年と付き合うと犯罪になるだろうが。大人になったら考えてやるとあれほど・・・」
俺は、諒と銃矢が話している様子を見つめながらオムライスを食べていた。
やはりすごく美味しい。
「美味しいか?」
銃矢が諒との会話を止めて、緊張した面持ちで俺を見た。
「美味しいです。諒が大好きな人の作った料理は違いますね」
そう言って、できるかぎりの感謝と気持ちを伝えようと思って口角をできるだけ上げて笑顔を作った。
銃矢は、俺の顔を見て嬉しそうに微笑みながら鼻で笑った。
「そうだろ。僕の料理は世界一美味しいんだ。今度は一人で来い。美味しい料理を出してやる」
そう言って、厨房へ帰っていった。
「彼、あんなにすまし顔でかっこいい雰囲気、頑張ってだしてるのに、一人称‘‘僕‘‘なのよ。可愛いわよね」
諒は笑いながら、俺に耳打ちをする。
「おい!諒!聞こえてるぞ」
銃矢の大きな声が静かな店内に響いた。
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