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諒と別れて寮の部屋に帰ってきた。
カバンをおろしてすぐにテレビをつける。
リビングの机でカバンから教科書やノートを取り出して勉強を始めた。
明日は、スポーツ大会で帰ったら寝てしまうだろうから今日は勉強をやりこまなければならないのだ。
インターネットで、分からない計算問題の解き方を調べながら勉強をする。夏休み前にもらった1学期の成績表を見つめる。
5段階評価の5が並ぶ中、数学だけ、4という数字が書かれている。
数学の担当の先生は担任の轟先生で、授業はわかりやすいのだが、テストが凄く難しい。2学期の中間に向けてまた勉強をしなければと気合を入れなおす。
~♪
諒の部屋にある電話が鳴った。慌ててとってみると、噂の轟先生からだった。
「もしもし、りょうです。」
「今日、時間あるか?」
「ありますけど…どうしましたか?」
「お前、中学校の頃、弓道で有名人だったらしいな。」
「有名かは知りませんが、中学校は、弓道をしていましたけど、
何かありましたか?」
中学校の頃は、叔母が世間体を気にして部活をさせられていた。弓道は、弓で相手を攻撃できるので、不審者から弟を守るときに使えそうだと思ったけれど、弓がないと攻撃できないし、弓も刃物なので相手に弓を射ってしまえ俺が社会的に終わってしまうと気づいて、中学校と同時に辞めてしまった。
「スポーツ大会で、弓道の種目があるんだが出る予定の生徒が、家の事情で出れなくなってしまったんだ。急で悪いが、代わりに出てくれないか?」
めんどくさすぎる。家から持ってきた弓道で使う一式の道具をちらりと見た。
手入れもしてないし、なにせめんどくさい。
「俺、リレーに出る予定なので…」
そう断ろうとすると、轟先生は笑った。
「大丈夫だ。リレーは午後にあるだろう。弓道は、午前中の一番最初に行わられる競技だから安心しろ」
「じゃぁ、よろしく」
そう言って、電話が切れた。
「はぁ、嘘だろ…」
風呂に入り、勉強を少し早く切り上げて中学時代に使っていた、道具を取り出して手入れをして早めに寝た。
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