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提案(二)
「そりゃあ怖いですよ。当たり前でしょう? さっき自分を締め上げた相手だもの。でもね、それでも、この人はあなたに歩み寄ろうというんです」
「歩み寄る? そんなこと望んじゃいない」
そう吐き捨てた男に、晴道がため息をついた。
「まるで駄々っ子だな」
「なんだと? わしは鬼に荷担してたんだ。妙な情けをかけず、さっさとふん縛ればいいだろうが!」
「あんたが自分の昔を語るかは別にして……知っていることを話すのは筋だろう。いいから集落まではついてきな。拒むなら、もう一度気絶させて担いでいくぞ」
これが脅しでも比喩でもないことを悟ったか、男は舌打ちしつつも諦めたようだ。
そうして奇妙な四人連れは、後は黙々と、集落まで引き返したのだった。
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