校庭

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 小学校四年生の算数の時間のことである。計算問題を解き終わった者からマラソンの練習をしていいと担任の先生から言われた。算数が好きだった私は、真っ先に解き終えた。そしてマラソンの練習のため校庭を走った。  何周もしないうちに、あちこちの窓から眺めている児童に気が付いた。「どんな悪い事をして走らされているのだろう」と不思議そうに見ている。だが当の本人は、真っ先に問題を解いた優越感に浸っている。これは罰ではなく褒美なのである。  私は体育が苦手で、運動会で走っても最下位ばかりだった。だが、この出来事のおかげで、長距離走が好きになった。  広く感じた校庭も、成長とともに狭く感じるようになった。  小学校の校庭から子供たちの歓声が聞こえる。彼らには、どんな思い出が残るだろうか。
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