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第二章7『まるでドラマのような』
碧さんと普段の翔のことを話しているとようやく真木が戻ってきた。
「あれ、今どういう感じ?」
「翔のこと教えてもらってる。それよりもお前、大丈夫なのか?なかなか長かったけど。」
「女の子にそんなこと聞いたらダメだよ、天野君。」
真木はそう言いながら俺のことを突いてくる。痛い、結構痛い。
「じゃあ、真木も出てきたことですし、僕たちはこの辺で失礼します。」
「そうですか、翔くんによろしくお願いします。」
「あ、その翔くんについてなんですけど……」
——ガチャ————
音がしたドアの方を見るとそこにはなぜか翔が立っていた。
何で?
「え、翔くん⁉︎どうして……」
俺が聞きたい…、チラッと真木の方を見るとちょこっと舌を出してニヤニヤ笑っていた。コイツ、何であのタイミングにトイレに行ったのかと思えば、翔に連絡してたな。
「碧、俺メンタル弱くて、ゲームばっかでどうしようもないやつだけど、やっぱり碧の隣にいたい……俺じゃ、ダメかな?」
「あのね、昨日言おうとしてたんだけど…」
「全部聞いたよ、碧が俺のこと心配して断ってくれたこともお母さんのことも。」
「だったら…」
「何で碧だけで背負おうとするのさ、少しは俺を頼ってくれよ。」
「ごめん……」
「俺が今聞きたいのはそんな言葉じゃないんだ。」
そういうと翔は内ポケットにしまっていた小さな箱から何かを取り出した。
指輪だ。
「俺と結婚してくれないか?」
「……はい…………」
碧さんは泣きながら指輪を受け取る。サイズはピッタシだった。
「やった〜〜、おめでとう二人とも‼︎」
この舞台を整えた名監督真木が飛び跳ねながら喜んでいる。
プロポーズが成功したのは夜の公園でも、高級レストランでもなく彼女の家だったのだ。
いや〜、本当にドラマみたいだった……
そのあとは碧さんに翔がここにきた理由を説明し、四人で少し話をしたあと、二人に気を使い帰ることにした。
「お前、よくあのタイミングで翔を呼ぼうと思ったな……」
「どうよ、うまく行ったでしょ?」
今回ばかりは真木のお手柄だ(いつもそうかもしれないが)仕方がない。
「なんか今日は奢るよ。」
「やったー、どうして?」
「シンプルに真木のおかげでプロポーズが成功したっていうのもあるけど、やっぱりお祝いごとは派手にしなくちゃさ。」
「さっすがお兄さん、男前だね。じゃあね〜、焼肉がいいな〜」
「遠慮ないな……、いいよ、奢ってやろうじゃん‼︎」
この後、天野の財布から数万消えるのだが、天野はまだそのことを知らない……
ちなみに、翔と碧さんの結婚式に呼ばれたり、佐々井にも飲み代を奢ったりと、なかなか時間が作れず、新作ゲームをすることが出来たのは、ゲームを手に入れた一週間後だった。
朝早くから並んだ意味……
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