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吾輩の使命は、端的に言うと人間観察である。
ここで言う人間とは知的生命のことだ。
知的生命を観察することに意味があるのか。
察するに、知的生命とは「予期せぬ存在」なのである。
「予期せぬ」の主語は、地球で言うところの神である。
ちなみに、神なる存在について、我々は答えを出していない。
神なる存在が全知全能、あるいは宇宙の創造者であったとして、なぜ生命を奪い合うような仕組みを作ったのだろうか。
神は全知全能であるが、残虐な思想の持ち主である
神は慈愛に満ちた存在であるが、全知全能ではない
などといくらでも考えられるが、そんなことは些末な問題なのである。
我々にとっては、どういういきさつなのか分からぬが、生まれ出でてしまった知的生命――つまり、我々とは何なのかを追求することに意味がある。
吾輩を含め、地球で表すところのDNAによって知的生命体は設計されているが、設計された後にどのように行動するかは確定できない。
確定できない――これが面白い。
無論、特定の状況下において共通の行動を取りがちであるのは言うまでもないが、それだけで知的存在を分かった気になるのは、知性に乏しいと言わざるを得ないだろう。
さて、こういう余計な前書きがあるせいで、吾輩ちっともランクが上がらないということはいい加減分かってきたのである。さっさと知的生命観察の報告をしていこうではないか。
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