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地球レポート 前書き
おぉん。おぉん。
みゃおぉん。
吾輩はハイデガール星人である。
我々に名前という概念はなく、地球風に言えば「ランク」で格付けされる。
吾輩にランクはまだない。
ハイデガール星人は、いかに異なる星において知的生命を観察できたかでランクが決まる。
観察するにあたって、その星の生物に擬態する必要がある。
吾輩のような若輩者は、いわゆる動物から始めるのがよいとされている。その文明において最も愛される動物であればあるほどよい。
吾輩は、ひとまず猫になった。
「吾輩は猫である」なる文書があるくらいには有名なのだから、吾輩の選択はおそらく正しい。残念ながら吾輩、猫を選択したが故に、書物というものに触れたことがないので、この名著を未だ読めてはいない。
ただ、「吾輩は猫である」というタイトルから察するに、猫の一人称が「吾輩」であるということだけは知っている。少ない情報からも学べることは多いのだ。
それにしても、日本という国はどうしてこうも一人称が多いのだろうか。
個としてのアイデンティティなる感覚を持ち合わせていない我々からすると、無駄に脳のリソースを消費している気がしないでもない。
「しないでもない」という言い回しも、なんとも回りくどいものである。
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