集会の夜

1/4
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
 空に猫爪の月が出た。さあ集会の夜だ。会場は「ネコス」。猫型ロボットがCMしているファミレスだ。  会の主催者は保護猫による猫カフェを営むカリスマ主婦。SNSでカフェの様子を毎日ブログにアップしていてフォロワー数も多い。みんなの尊敬を集めている。今日は待ちに待ったオフ会だ。  参加者は猫のブリーダー、会社員、主婦など。年も立場も違うがみんな猫好きなのは同じだ。 「スーパーへ行ってじゃが芋を見るとメインクーンが思い浮かぶのよ」 「分かる分かる。いくら文字が書いてあっても勝手に脳がメインクーンに変換しちゃうよね」 「元はなんだっけ? メインクイーン?」 「すっかりゲシュタルト崩壊してるわね」  全員が大きく頷き苦笑した。猫好きでなければ分からない会話である。 「私は耳が立っていてもスコティッシュフォールドだって分かります」 「顔が違いますよね」 「でも立ち耳の子は弱いっていいません? 劣性遺伝だそうですよ」  ちょっとした話からも会話が広がる。 「ロシアンブルーとシャルトリューとコラット、世間の人は見分けつかないみたいですね」 「体型も目の色も違うから全然違うのにね」 「ラグドールとラガマフィンも似てるわね」 「ラガマフィンも元はラグドールだものね」  呪文のように猫の種類をスラスラと言う。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!