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「遅くなってすみません!」
そこに若い学生風の青年が、顔中傷だらけにしながらも笑顔で登場した。
「僕アパートなんで猫は飼ってません。でも大好きです! よろしくお願いします!」
みんなの視線が青年に集まる。
「……その顔どうしたの?」
「来る途中怪我してる仔猫がいたので治療しました。暴れて引っ掻かれまくりました!」
「猫の治療できるの?」
「僕獣医学部の学生です。将来は獣医になります! 早く稼いでペット可のアパートに引っ越すのが夢です!」
爽やかな風が吹いた。青年のキラキラした瞳に皆毒気を抜かれた。
「そっか。頑張ってね」
「期待してるわよ」
「うちの猫ちゃんも診てね」
「ちょっとあなた血が出てる。はい、ティッシュ」
「私絆創膏持ってるわよ、はい」
「傷薬ありますよ。猫飼ってるとしょっちゅう引っ掻かれますからね」
「そうそう、必需品よね」
「……皆さん優しいですね。やっぱり猫好きは良い人ばっかりだ!」
「…………」
集会は夜更けまで続いた。和気あいあいと、穏やかに。
〈終〉
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