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空に猫爪の月が出た。さあ集会の夜だ。会場は「ネコス」。猫型ロボットがCMしているファミレスだ。
会の主催者は保護猫による猫カフェを営むカリスマ主婦。SNSでカフェの様子を毎日ブログにアップしていてフォロワー数も多い。みんなの尊敬を集めている。今日は待ちに待ったオフ会だ。
参加者は猫のブリーダー、会社員、主婦など。年も立場も違うがみんな猫好きなのは同じだ。
「スーパーへ行ってじゃが芋を見るとメインクーンが思い浮かぶのよ」
「分かる分かる。いくら文字が書いてあっても勝手に脳がメインクーンに変換しちゃうよね」
「元はなんだっけ? メインクイーン?」
「すっかりゲシュタルト崩壊してるわね」
全員が大きく頷き苦笑した。猫好きでなければ分からない会話である。
「私は耳が立っていてもスコティッシュフォールドだって分かります」
「顔が違いますよね」
「でも立ち耳の子は弱いっていいません? 劣性遺伝だそうですよ」
ちょっとした話からも会話が広がる。
「ロシアンブルーとシャルトリューとコラット、世間の人は見分けつかないみたいですね」
「体型も目の色も違うから全然違うのにね」
「ラグドールとラガマフィンも似てるわね」
「ラガマフィンも元はラグドールだものね」
呪文のように猫の種類をスラスラと言う。
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