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「じゃあ、一緒に遊ぼう!」
「嫌です間に合ってます他当たってください」
「なんで! 達川君友達いないんでしょ! 間に合ってるわけないじゃん」
「余計なお世話だ。僕は一緒に遊ぶような友達とかいらない」
「えぇぇ……達川君って変わってるね」
彼女は大袈裟に仰け反いた。なんでそこで引くのか、意味が分からない。
友達なんて、本当にいらなかった。誰かとワイワイ騒いで仲良しだなんて、想像しただけで虫唾が走る。
それに対して1人は楽だ。誰の足も引っ張ったり引っ張られたりすることなく、自分のペースで物事が進められる。人間は群れる生き物らしいが、僕にはその心理が理解できないので、もしかしたら僕は人間じゃないのかもしれない。
でもその方が良かった。人間は感情を持っている。僕にはその感情は必要ない。
下校を知らせるチャイムが鳴った。
「いやぁ時間が経つのが早いね」
彼女は「また明日」と言って図書室を出て行った。騒がしかった室内に静寂が訪れる。
「明日も来るのか……」
この3日間で僕の疲労はピークに達していた。いつも図書当番の日はこのカウンターに座って課題をやり終えてから帰宅するのに、ここ3日間は課題を持ち帰っている。別に家でやることに対して問題はないのだが、図書当番の日は家で課題をやらなくてもいいという習慣が出来上がっていたので、その習慣を崩されて少し腹立たしい。
明日こそは名前を暴いて平穏な日常を取り戻すんだ。
僕はそう強く決心した。
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