放課後の図書室

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 月曜から金曜までの授業の内、7限目まであるのは月曜と金曜の2回だ。今日は金曜なので7限目までの日だが、ロングホームルームなので授業というか話し合いの時間である。 「今日は来月の体育祭に向けて、誰がどの競技に出るか決めるぞー」  担任の福部先生が教壇に立って手を叩く。クラスメイト達は「もうそんな時期かー」「今年も教員リレーやるのー?」「はいはい! 俺応援団やる!」などと盛り上がり始めた。 「はいはい、ここからはクラス委員に仕切りを任せるから、まとめてくれ」  福部先生はそう言って、教室隅に置かれたパイプ椅子に腰かけた。教室の真ん中あたりに座っていた女子生徒が立ち上がって黒板前に移動する。 「えー、今年も去年と同様、赤、青、黄色、緑、白の5チームに別れて優勝を競います。1組と2組は青チームです。まぁ優勝したからといって何か貰えるわけではありませんが、結束力を高めようというやつです」  女子生徒は黒板に『青』と書いた。 『あ、クラス委員は? いるでしょ、委員長』  ふいに昨日彼女が言っていたことを思い出した。  さっき福部先生は仕切りをクラス委員に任せると言って、今前にいる女子生徒が出てきた。必然的にクラス委員長ということになる。想像で勝手に赤渕メガネに2つくくりの髪の毛をしていると思っていたが、前にいる人はショートカットで小麦色の肌をした福部先生寄りの体育会系女子だった。
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