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翌日の放課後、宣言通り彼女は図書室にやって来た。
「さぁ昨日の続きといこうじゃないの。追加ヒント出すよ? 何が知りたい? あ、スリーサイズと体重は聞いちゃダメだよ。ご法度だからね」
僕を見るや否やマシンガンのように喋り出し、それだけで疲弊した。本当に名前とかどうでもいい。
「あの、さ。別に興味がない場合や知りたくない場合は、どうしたらいい? 本当にどうでもいいんだよね」
泣かれるのは勘弁だけど、冷たくあしらえば諦めてくれるのではないか。なんて期待した僕が馬鹿だった。
「まぁまぁそう言わず。名前当てたら達川君の前から消えるから」
彼女がそうそう傷付くような玉でないことは昨日の30分で分かっていた。できれば今すぐに消えて欲しいが、消えてくれる保証があるならまぁ及第点か。
「丸1日経ったわけだけどさ、達川君はクラスメイトとか友達に聞いたりしなかったの?」
「興味ないのに聞くわけないでしょ」
「じゃあさ、明日聞きなよ。多分誰かあたしのこと知ってるはずだよ」
意気揚々と言われたが、僕は首を振った。
「聞けるような人は居ない」
2年2組での僕は透明人間のように過ごしている。朝から授業が終わるまでクラスメイトと一言も会話を交わすことなく、1日を終えることが大半だ。別にいじめられているとかそういうのではないが、自分から話しかけることもなければ向こうから話しかけてくることもない。ただ、それだけだった。寂しいとか虚しいとか思ったことはない。1人の方が楽なのだ。
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