いろはの正体

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「何、どうした?」 「はいはーい、どうしたの?」  教室内に居た2人はすぐやって来る。え、なんで。ここに集合されても困るんだけど。加藤さんもまさか相田君が勘違いして綱引きメンバーを招集するとは思わなかったのだろう。「えっと……」と当惑していた。 「あ、ごめん、違うの。明日の作戦会議をしてたんじゃなくて、達川君の様子が最近変だったから声掛けただけなの」  ごめんね、と申し訳なさそうに両手を擦り合わせる加藤さん。なぁんだじゃあ用はない、と解散するのかと思いきや。 「確かに最近人のこと避けてるよな。元々人と関わってるところ見たことないけど、最初に綱引き練習した時は普通に話してくれてたし、みんなと関わってくれてたのに、最近じゃ目も合わせてくれねぇし」  背の高い相田君がそう言うと、相撲部の須山君も「俺も同じこと思ってた」と同調した。 「同じクラスになって1回も話したことなかったからちょっと警戒してたんだけど、綱引きで同じチームになったとき素直だしいい奴だなって思ってたんだ。普通に話もするし。それなのに急に手の平返したみたいに避けるからさ、気になってたんだよ」  茉里奈さんもうんうんと頷いた。 「どうしたの? 何かあったの?」
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