放課後の図書室

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 一体これのどこが楽しいというのだろう。ましてや僕はつまらない人間で、愛想もなければ優しくもない。何に対しても無関心で何に対しても無気力だ。こんな面白味のない人間に絡んでくる彼女は、一体僕をどうしたいのだろう。 「部活動は?」 「入ってないよ。達川君も入ってないでしょ」 「委員会は?」 「入ってない。達川君は図書委員だよね」 「何組?」 「それは言えない。達川君は2組だったね」  いちいち僕の情報を入れてこなくてもいいんだけど。っていうかクラスくらい教えてくれてもよくないか。 「このクイズ、いつまで続くの?」 「正解するまでに決まってんじゃん。5年でも10年でもあたしは待つよ~」  彼女はあたし待ぁつぅわぁ♪ と歌い始めてしまった。  10年後といえば27歳だ。大学を四年で卒業したと仮定すると、社会人5年目になる。それまで彼女に付きまとわれるのか……? 考えただけでゾッとした。死んだほうがマシかもしれない。  僕は、真剣に考えて正解して早く平和な日常を取り戻そうと決心した。ちょっと考えれば何かが分かるかもしれない。  そもそもこの高校の2年生は全部で8クラスあり、1組から4組は南校舎で5組から8組は北校舎にある。南校舎で彼女を見かけたことがないので多分隣の島の住人だろう。つまりは5組から8組に絞られるということだ。2年5組から8組で部活動にも委員会にも入っておらず、イニシャルがA・Tの女子。  ……情報が少なすぎやしないか?  もう少し何かヒントを、と欲張ったところで下校のチャイムが鳴り響いた。
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