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【3】ミコ
ミーコがいなくなるまでの間。
何匹かの猫が家族になり、楽しみも悲しみも…。
一番賢く、忘れられないのがミコ。
ミーコの子で、少し毛の長いグレーの縞猫。
お茶の季節になると、朝から茶畑に来て、終わるまで近くにいました。
「ミコ帰るよ」
と言うと、一緒について帰って来るミコ。
子供の頃の実家は古く。
母家の隣に並んで、祖父母の家。
その更に向こうに風呂屋がありました。
夜は寂しい場所です。
母は、よくミコを連れて行きました。
開けた窓や脱衣籠等で、じっと待つミコ。
優しくて、賢い猫でした。
ある日、調子の悪そうだったミコ。
それでも茶畑に来て、ずっと寝てました。
「ミコ帰るよ」
と言うと、しんどそうに起き上がり、ゆっくり一緒に帰って来ました。
そして家の中に入り。
ドタっと倒れて、私と母が見守る中。
静かに息が止まりました。
涙をボロボロさせながら、暫く撫でていた記憶が、今でも残っています。
そんな優しい猫でした。
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