【4】ミッコ

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【4】ミッコ

名前がややこしくてすみません。 何というボキャブラリーの乏しさ💧 ミコの生まれ変わりの様な猫が、ミッコです。 確か、ミコの子だったと思います。 私が中学生の頃。 家には、貰ったシャム猫もいました。 賢くて良く甘える猫でした。 でも…家族となり、一番短く生きたミッコ。 それは、思いもよらない、突然の悲劇でした。 ミッコは、前の日から見かけていない。 それぐらい、野放しなので良くあることです。 子供の頃。 冬には雪が30センチ程、時々積もりました。 そんな寒い年の瀬に、車で1時間半の高知市にある、弘化台(こうかだい)と言う大きな市場へ、買い出しに行きました。 鮭や(ブリ)の半身や、蟹、(かつお)などを、沢山買い込んで帰路へ。 実家の近くの林道からは、坂を歩いて上がって、5分くらい。 夜には雪になりそうな、そんな冷たい雨が降っていました。 ふと、道の下にある畑の方から、(かす)かな猫の鳴き声が聞こえた。 (まさか⁉️) そう思った私と母は、荷物を置いて、慌てて下りて行きました。 悪い予想は的中し、そこには、祖父がハクビシン(狸ににた獣)用に仕掛けた罠に、前足を挟まれたミッコが。 半円常に鉄の棘があり、ガシャンと挟む罠。 私が傘を持って被せ、母が罠を外しに…。 必死でもがいたミッコの前足は、皮だけで繋がった状態で、もう力尽きていました。 恐らくは、罠に掛かって2日。 冷たい雨に濡れながら。 最後の力を振り絞って、声を出した。 見つけた時の、あの嬉しそうな目。 「ミッコ、もうええからね。痛かったやろう、ごめんねミッコ。寒かったやろう…」 涙で話しかけながら、母が罠を外しました。 もう助からないのは分かった。 「綺麗にしちゃるからの」 そう言って、お風呂場の温かいお湯で、冷えた体を温めながら、綺麗にしてあげました。 前足は、母がハサミで切り離しました。 もう感覚はないから。 時々「ミャアーァ」と鳴く声は、何故か嬉しそうに聞こえました。 2人でバスタオルで拭いて。 温かい毛布に包んで。 ストーブの前で、母が抱いていました。 食べる力も飲む力もないミッコ。 それから少しして、眠る様に逝きました。 「猫がおるき、畑に罠はやめちょき、言うたろうが❗️ミッコが死んだがよ❗️」 祖父に、母が怒鳴るのを初めて見た。 それからは、祖父も猫は好きみたいで、罠をやめました。 最期を家族といられたことだけが、せめてもの救いだったと思います。
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