1. 初めての恋

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  中学3年の夏、初めて君の唇を感じた。放課後、誰もいない教室で。 いちごの香りがフワッとして、それはもう、おいしい唇だった。あの衝撃と高揚は今でも覚えているよ。 その頃から完全に、僕は君の虜になってしまった。君の全てが愛おしくなった。 「どうして女子は汗をかいた体操服までいい匂いがするの?」って訊いたの君は覚えてるかな? 抱きしめた後に僕はそう感じたんだ。だから訊いたんだけど、あの時の君のはにかんだ表情、可愛かったな。 もう少し早く君のことを知っていれば、僕はあれほど苦労せずに済んだかもしれない。君が賢過ぎるが故に僕は苦労したんだよ?君と同じ高校に行きたくて、でもあまりに偏差値が高いものだから、死ぬ気で勉強したんだ。 だけど、そのお陰で僕も多少は賢くなれたし、結果また君と同じ学校に通えるようになった。 合格発表の日、掲示板の前で、君は目を少し潤ませて「おめでとう」と言ってくれたね。 よそよそしい感じがまた、素直になれない君の心を表しているようで……愛おしかった。
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