ねずみの血

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 さて、ハンターである猫たちも、強い繁殖能力を持っていることで知られております。  猫の出産匹数は平均で五匹。多いと八匹ぐらい生まれます。ねずみほどではありませんが、生後半年前後で繁殖可能となり、生涯出産回数は十回から十五回、つまり、母猫一匹で五十匹程度は産める計算です。子の子が産んで、その子の子が産んで、そのまた子が産んで、猫は逞しく繁栄を続けてまいりました。そもそも人間が飼い慣らせる種族ではないのです。  (わたくし)が読者の皆様にお伝えしたいことは、猫がいかに尊いか、ではございません。猫がいかに至上か、ということでも、猫ほど美しいものが他にあるか、ということでもございません。ええ、ここからがこのお話の本題になります。    胸に手を当てて、よく思い出してみてくださいませ。  皆様、過去に一度ぐらいはお金を拾ったことがあるのではないでしょうか。  一万円札を拾った方はラッキーでしたね。ちゃんと交番に届けましたか?  五千円札、千円札を拾った方もラッキーでしたね。二千円札はスーパーラッキーです。これも交番に届けましたか?  硬貨は、なんとなく貰っちゃってもいい気がしますけれど、善良を自負するお方は交番に届けることをお勧め致します。ですが、百円以下なら交番に行くのもちょっと考えてしまいますね。だからと言って、ネコババしちゃうのも悪い気持ちになりますけども……。
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