はつこい、はつこい。

　おいおいおいおい、人を……いや、猫を馬鹿にするんじゃねーよ。
　猫に怪談なんかできねえって？怖い話なんか知ってるわけがねえだろうって？はーん、お前さん、自分が猫と話せる特別な人間だからって調子こいてんな？どうせ猫なんざ、人間より脳みそつまってないし面白いお喋りなんかできないだろって思ってるだろ。
　え、そこまでは言ってないって？……まあいいや。

　ふん、そんなこと言ってられるのも今のうちだぜ。見てろよ、俺がお前をぞぞぞぞーっとさせてやるんだからな。

　今から話すのは、俺様がまだ子猫だった時のことだ。
　覚えてるか？昔俺様が、二階の窓の前に座って外を眺めるのが好きだったってこと。最近はやってないけどどうしたのかって？……そういえば、お前はなんも知らないんだったな。
　窓の外を見る理由がなくなったんだよ。
　今から話してやるから耳かっぽじって聞きやがれ、カイヌシ。
　由緒正しきピッカピカの雑種であり、オカルトにぴったりな黒猫ライカ様の怪談ってやつをよ！