和亮

1/1
前へ
/40ページ
次へ

和亮

 目の前の愛しい少女が、和亮をアキと呼んで頬を赤くする度に心が躍る。  二人で夕飯を作って、何気ない会話をすると、これが日常になったらどれだけ嬉しいだろうと多幸感に包まれる。  恥ずかしさを滲ませてアキと呼ぶ羽奏があまりにも可愛くて、羞恥に耐えきれず和亮くんと呼び直す度に、そうじゃないでしょと意地悪ぶって何度も揶揄いアキと呼ばせる。  女の子がこんなに可愛いと思えるのは初めてだった。  夕飯の片付けをして、並んで洗い物をして、まるでままごとのような甘い時間は、和亮言い様のない幸福を与える。  羽奏を自分のものにしたい。  衝動的な欲望で、今までの抑圧され、鬱積した劣情が噴き出すのは当たり前だった。  後ろでに部屋の扉を閉めて羽奏を抱きしめる。  幼いと思っていた少女の体は、日々成長しているらしく、首筋からムワッと色香が漂って和亮を刺激した。  そんな刺激に歯止めが効かなくなって、残り少なくなって理性を抑えていた心の箍が外れる音がした。 「羽奏、羽奏……」  その可愛らしい名前を呼ぶだけで興奮する。こんなにも奮い立つものなのかと、異様なまでに気持ちが昂る。  異性にモテなかった訳ではないが、周りの女性が自分に向ける好意と好奇の眼差しには不快感しかなかった。そんな女性たちとは一定の距離を保ってきた和亮なので、もちろんセックスの経験などなかった。  だからだろうか。煩悩に身を任せて快楽に耽ると、溺れるのは容易いことだった。  必死で貪る唇は何に比べても甘く、拙いけれど必死に応えようとする小さな舌は、和亮の官能をこれでもかと揺さぶった。  どこか怯えたような羽奏に気付くことすら出来ず、和亮は自身の欲望に呑み込まれて、思うままに手を動かした。  おもむろに羽奏の服を剥ぎ取ると、愛らしい乳房が剥き出しになった。  そこを刺激すれば気持ちがよくなるはずだと、本能的に乳房にむしゃぶりつく。  僅かに残る石けんの香り。  硬く尖り始めた乳首を口に含むと、羽奏の口から溢れる喘ぎ声に興奮して、舐めたり噛んだりするのをやめられなくなった。  セックスの知識なんて、たいして持ち合わせていない。それが羽奏を傷付ける行為だと分からないまま、享楽に抗えず、ただただ執拗に刺激に反応して震える胸元の果実を味わった。  何度も和亮を呼ぶ声が可愛くて、それが何を意味するサインなのか、感じ取ることすら出来ずに行為に耽ってしまった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

597人が本棚に入れています
本棚に追加