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 乳首をちろり、舐めればマーサは可愛らしく顔を隠した。ちゅっっと吸い付けば腰をゆらりと揺らし、私の臍の下、下腹部にペニスを擦り付ける。ゆるゆると腰が動いてしまう彼に思わず笑いが止まらなかった。 「わらうな…」 「すまない。こんなに愛おしいセックスは初めてでね。可愛いだけさ」  乳首にきゅっと噛み付き、彼のペニスを手に持つ。その瞬間、マーサはひゃぁっと猫のような艶やかな声を出す。そっと優しくペニスを扱き上げ、マーサを見つめる。ふぅ、ふぅ、と肩で息を吐く彼の瞳からは生理的な涙が滲んでいた。それが義眼じゃないという最たる証拠のような気がして、私の背中が大きく震えた。それがあまりにも幸せで、私はマーサの乳首から歯を離す。そしてゆっくりと彼を抱き締めた。 「な、なに? どうした、急に」 「……愛しいなぁと思っただけだ。愛しいという気持ちがこんなにも温かいものだとは思わなかった。エゴイズムの塊だと思っていた。なのに、今、私は……。言葉に出来ないな。愛しくてたまらない」  生理的に流れる涙を舌で掬う。しょっぱい。ちゅっとほおにキスをして、彼の耳に言葉を落とす。愛している、と。そうした瞬間にマーサはびくりと身体を跳ねさせた。私の背中に回っていた手。その手の先端にある爪が私の背中に食い込む。私はマーサに翻弄され、疲弊し続けた。今は彼がその立場にいる。私で頭がいっぱいのようだ。ふ、っと小さく笑えば私を睨み付けるマーサが私の下にいた。  くるん、と身体を反転させ、クッションをマーサの下に敷く。四つん這いの格好にさせ、尻を突き上げさせた。 「…ひ、んぁ」  後ろをひと撫ですれば、マーサの口から甘い吐息が漏れた。自分で解したのか既に柔らかくなっているそこ。それでも彼の身体に傷をつけるのは忍びなく、ローションを手に取る。そういえば、私が裂いた下腹部の傷はもう塞がっている。少しだけ切なく、またあの時を思い返し、腹の奥底が疼いた。擬似セックスもまたしたい。されたい。加虐趣味と被虐趣味が寄せては返す。私はマーサになにをされてもいいし、なにをしてもいい。 「冷たいだろう。すまないね」 「ふぅア、いい、よ…だいじ、ょ、」  後ろにたらりと垂らすローション。やはり冷たいようで、マーサは身体を震わせた。そんな彼が可哀想で背中にキスを何度か落としていく。そして、ぷつり、中に指を一本入れた。クッションが凹んでいく。ゆっくりと円を書くようにくるりと中を愛撫していけば、マーサは次第に昂っていくようで自身から腰を押し付けるようになる。 「あ、ア、あん、い……」 「気持ちいいかい?」 「ん、ぁ、うん、気持ち、いい」  ぐちゅりと卑猥な音が寝室に転がる。その度にマーサは腰をくねらせるから目に毒だった。尻にひとつキスをしてからペニスも握ってやる。カウパー液はもう既に出ているようで前もぐちゃぐちゃだ。マーサがしたように陰茎を愛しく擦り上げ、亀頭を手のひらでぎゅっと捻る。 「ひゃぁ、イク! ……急に! ヤ、ぁ、やあ」 「いっぱいイケばいいさ」
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