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 第一関節まで入っている指。切れないように慎重に優しく扱う。嬌声が上がっているから大丈夫だろうと私は第二関節までつぷりと沈めた。睾丸の皮をかり、くりと引っ掻きながら、偶に引っ張り、中を優しく撫で回す。そのうちに中にこりっと硬い場所を発見する。 「…っんぁ! ひぃ」 「ここ? 良いの?」 「お、おかしく、……な、るぁ! んっ、ひ、」  マーサの声色が更に黄色く変わるから、私はそこを念入りに攻めたてる。ここは前立腺か…? とんとんっと緩急をつけ擦り上げる。マーサの腰ががくがくと震え始めた。ペニスに触れるのをやめ、腰を支えてやる。そして前立腺をたっぷりと愛撫する。嬌声がシーツに溢れる。 「、ゆび、もう…いっぽん……」 「欲張りだな」  ふ、っと笑いながら私は背中にキスを落とす。マーサの上手なおねだりに指を増やした。第二指と第三指。普段煙草を持つ指だ。それをマーサの中に沈める。ゆっくりと静かに押し込めば、マーサは声を我慢しながら背中をぶるぶると震わせる。マーサの中で第二指と第三指をゆっくりと開く。ばらばらに指を動かせば、穴は自然と広がっていく。柔らかい。 「……っふ、ぁい、ぁ」 「中柔らかい」  そう率直なことを吐けば、キュッと指を締め付ける。中は収縮が行なわれているようでセックスの準備は出来ているようだった。  ぐじゅり、ばじゅり、激しい水音が寝室に落ちてくる。 「頑張って自分で立ちな」  そう意地悪く言って支えていた手を離す。途端に崩れそうになるが、私の言葉に従順に従ったマーサは膝をベッドに押し付け、腰を高くあげる。尻にがぶり、噛み付いて、また陰茎に触れる。尿道をかりかりと引っ掻きながら、中を擦るのも止めない。 「だめ、ワイアッ…ト! イッ…ぁく」 「いいよ」 「イッ、く…、イッっちゃ、……ワイアット!」 「ん、大丈夫、一緒にいるから」 「あっ、あ…あ!!」  緩急をつけ掻き回し、扱く。マーサは呆気なく達して子鹿のように腰を震えさせていた。シーツの上に吐き出された白濁した液。そのままマーサがうつ伏せで倒れないように腰に手を入れて引き起こす。尻にキスを忘れない。  存分金があるようでベッドは広い。汚れた場所を避けてマーサを再び寝かせた。  とろりと蕩け切ったマーサのほおに優しく触れる。するり、私のその手に収まるようにほおを寄せてくる彼。そして私の指先にキスを落とす。 「ねぇ……」 「ん?」 「なんでもない。呼んだだけ」  くすり、笑うマーサは私を愛おしそうに見つめてくれる。その瞳を食べてしまいたい。義眼を作ってあげるから、私にくれはしないか? 大事にするよ。そう馬鹿な戯れ事を思ってすぐに、この肉体にこの瞳があるから私は惹かれたんだ、と痛感する。この思考回路とこの欲望、この脳髄に包まれた眼球が好きだ。イコール、マーサが愛おしいという迷路のゴールに差し掛かる。月が笑った。  私たちは名前を呼ぶだけでクスクスと笑えるだけになった。なんの隔たりもなく、まるでハイスクールの餓鬼みたいなことをしている。  私の指先を舌で弄るマーサ。まるでフェラをするように誘惑してくるから私はマーサの歯を弄った。ぐいっと口が開くようにマーサの歯を押す。顎が下がり簡単に開いた口。そこに自身の舌を入れる。マーサの唇が私の唇に吸い付いてくる。ちゅ、くちぃ、ちゅぅ、愛しむ水音が私たちの間にこだました。
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