5話

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「ああは言っていたが、内心お義父さんは怒っていたんじゃないだろうか……」 帰りの新幹線の中、あまりにも予想外だったからか未だに疑い続けるのを見て、少しだけ申し訳なくなった。 「実は……私の姉も出来ちゃった結婚だったんですけど、その時も父はあんな感じだったんです。なので、怒ったりはしてないと思います。先に言っておかなくてすみません……」 「それならいいんだが」 私の説明に、少しだけホッとしたように息を吐いている。 「ああ、そうだ。明日なんだが、10時頃に俺の実家に行こうと思ってるんだが大丈夫か?」 「はい、大丈夫ですけど……?」 元々その予定だったんだから大丈夫に決まってるのに、何で確認? 「最近眠そうにしているから、もう少しゆっくりの方がいいかと思ったんだが」 「え。何で眠いって知って……」 「仕事中よく欠伸をしてるし、ボーっとしてることが多い。今までそんな事は無かったからな」 見られてるなんて全然気付いてなかった。冬也さんの席から私って見えにくい角度だと思うんだけど…… 「確かに眠い事が多いですけど……予定通りで大丈夫ですよ」 「本当か? お義母さんも言っていたが、無理だけはするなよ。何かあればちゃんと俺に言え。業務量の調整とか、出来る限りのことはする」 「――ありがとうございます」 しょうがないというか当然なのかもしれないけど、やっぱりどうしても上司と部下って感じになってしまう。こんなんで本当に、結婚してから夫婦としてやっていけるんだろうか……
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