12話

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「それで、初めてのデートは楽しかったわけね」 久しぶりに連絡が来て、美沙とお昼休憩にランチを食べながら先週末の事を話すと、妙にニヤニヤしながら確認をされた。そういえば、前に会った時もやけにニヤついてたよなあ。 「うん。楽しかったよ」 「へえ。あんなに苦手だーって言ってた相手なのに?」 「それは……だって……」 一夜の過ちで妊娠して結婚することになって、最初は戸惑いが強かったし確かに苦手だったけど、冬也さんと一緒に過ごして今まで知らなかった部分を知るごとに…… 「……好きになっちゃったんだもん」 「まあ、そうなる気はしてたけどね」 「え、何で?」 「んー……勘? 今までの陽菜の恋愛歴を知ってるからさ」 なるほど。確かに、美沙にはほぼ全ての恋愛歴を知られてると言っても過言ではない。伊達に親友じゃないなあ。 「あの人なら陽菜の事大事にしてくれそうだったし、そういう相手に心が動かない可能性は低いじゃない? というか、あれは絶対陽菜の事好きでしょ」 「そうなのかな……」 優しいし、大切にされてるのは感じてる。大事にするとも言ってもらったし、嫌われてるとは思わないけど…… 「言っとくけどその指輪、めちゃくちゃ高いよ? 特別に思ってない女に、そんなの用意しないでしょ。しかも時間までかけてさ。結婚指輪だけでも良かったわけだし。陽菜の事好きな気持ちの現れだと思うけどね、その指輪」 左手の指輪を見ると、美沙の言葉を肯定するかのようにキラキラ光っている。 「そんなに自信ないなら、旦那に直接聞いちゃえば? 私の事好き?って」 「え、直接聞くの?!」 「当たり前でしょ。直接以外でどうやって本人の気持ち知るのよ。もしくは、陽菜の方から好きっていうのもありよ」 どっちも結構ハードル高いな…… 「旦那の気持ち知りたくないの?」 「それは……知りたい」 「でしょ? だったらやるしかない」 「……ガンバリマス」 まさか、冬也さんに恋をすることになるなんて、ほんの数か月前までは思ってもなかったなあ……
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