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1.職員室にて
5年生も間もなく終わるころ、アリスは職員室の担任を訪ねた。
「蘭先生、お話があります」
「はい、アリスちゃん、どうしましたか?」
「6年のクラスのことで話を聞いてもらいたいんです」
「わかったわ。隣の部屋に行きましょうか」
と担任の蘭 六花はアリスを応接室に招いた。
応接室は主に校長への来客とかで使われている部屋で、さらに奥のドアを開けた部屋が校長室となっていた。
応接室の壁には書棚がたくさんあり、学校史や年度別に整理された生徒の名簿などがズラリと並べられている。ある意味禁書庫のような雰囲気があった。
革製のソファに腰かけた先生は、
「さ、遠慮なく掛けて。今日はどんなことかしら?」
と聞いて来た。
「はい…。実は先ほども言いましたが、6年生のくラスのことなんです」
「だいたい想像はつくけど、まぁ聞きましょうか。どうぞ」
と先生はアリスに振った。
「はい。残り少ない5年生のうちに、「クラス会」を開きたいんです」
「クラス会ですね。理由はレイラちゃんのことで?」
「え?!何でわかったんですか?」
「わかりますとも。これでも担任なのよ?」
「さすが先生。話が早いわ!」
「ちょっとお待ちなさい。まだ何も聞かないうちから許可はできませんよ?話を聞いてからになるので、アリスちゃんの話を聞かせて下さい」
「え?そうなんですか?」
と言ってアリスは、一つ大きな息をした。
「では話しますね。私達が6年生になるときに、クラス替えをせずに、今のクラスのままで、この1階で6年生のクラスにしたらどうかと思うんです」
「それは、アリスちゃん個人の考えなんですか?」
「はい、今のは私個人の意見です」
「そのための「クラス会」なんですね?」
「そうです。このことをクラスの皆に話してみて、賛成してもらうつもりでいます」
「ウン。いいことだと思いますよ。ただし…」
「ただし、何ですか?先生?」
「ハイ、そういうクラス替えとかの大事な事は、私一人で決定ができないの…」
「どうすればいいんですか?先生?」
「春休み中に行われる総合職員会議にかける必要がありますから、それまでに準備が必要ですね」
アリスは机に両手をついて立ち上がり、
「私、何でもやります!何をすればいいか、教えて下さい!」
と力強く言った。
「では…」
と言いながら、蘭 六花は話し出した…。
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