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5.平凛の初出動
今日は、ISDに警務部長が初巡視に来るという。ま、警務部長と言っても平凛だが…。
警察というのは、こうして時々警察署にお偉方が巡回に行く時があるが、ISDに来ることは珍しい。おそらく平凛の個人的な興味に違いない。
さすがに本部から徒歩1分だから、車は使わずに歩いてきたようだ。平凛とスーツ姿のお付きが3名入ってきた。
それとほぼ同時に、ホットラインが鳴った。
佐々木咲夜が対応する。咲夜が人差し指をくるくる回すジェスチャーを出した。ヘリが出動する事案のようだ。
あとは海か山か、又は川か…?咲夜は続いて片手で大きく山の形を作った。オレは、
「山だ!雷、七海、オレと出るぞ!準備しろ!」
と告げると、
「私も参ります」
と平凛が言い出した…。
「警務部長!それはちょっと…」
お付きの3人はオロオロしている…。
「私も行くのです。誰か靴とジャンバーをお貸しください」
咲夜が予備の靴と、ジャンバーを取り出し平凛に渡した。
平凛は履いていたパンプスを脱ぎ捨て、咲夜のスニーカーに履き替え、着ていたスーツの上にISDのロゴ入りジャンバーを羽織った。
「状況は?」
とオレが聞くと、咲夜は、
「渓流釣り客が戻らないとの連れからの通報です。谷に入って約1時間。携帯は応答なしです。ヘリはあと5分で本部に到着します!」
と言った。
「わかった。雷はシロ達をヘリポートまで頼む。乗るのは平凛と七海とオレだ!」
「ハイ!」
と言って二人は準備に駆けだした。
平凛のお付きの者達が、
「警務部長、危険です、おやめください!」
と口々に言い続けていたが、平凛が一度決めた事をやめる事はしない女だと、オレは一番知っていた…。だから、
「平凛は先に本部屋上のヘリポートに向かってくれ」
と言ったら、
「ハイ!ダンナ様!」
と駆け出した。お付きの3名は、
「え?ダンナ様?」
と言ってポカンとしていた…。
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