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前編
誠に残念ながら、ご希望に添いかねることになりましたのであしからずご了承下さいますようお願い申し上げます。
貴殿の採用を見送らせていただくことになった為、ご通知申し上げます。
「ご希望に応えることができず、誠に申し訳ございません……」
一枚増えた不採用通知をつまみ、溜息を吐く。
高校を中退して3ヶ月、俺は就職難という大きな壁にぶつかっていた。学の無い自分でも出来そうな仕事を探しては、面接、面接、面接。
そしてその度に積み重なる嬉しくない方の紙。
選り好みをしているつもりは無かったが、これだけ落ちるのであればもう少し考えなくては。不景気の影響もあるかもしれないが、まずは自分の受け答えの仕方やマナーも見直そう。
しかし、今日はもう疲れた。使い切った履歴書は明日買う事にして、休むことにしよう。俺はベッドに寝転がって布団に入ると、スマホでインターネットの掲示板を覗き始めた。
【旦那の変な癖にそろそろ切れそう】
【会社の上司に理不尽な怒られ方したから仕返ししたい】
【ちょっと異世界行ってくるわ】
【俺にストーカーが出来た話聞く?】
「ん?」
多くの題名が並ぶ中、異世界に行ってくるという掲示板が目を引く。行きたいという話は良く挙がっていたが、本当に行こうとしている人間は余り見ない。居たとしても釣りだと丸分かりなので、人気のある話題では無いのだ。
だが今日の俺はもう頭が働かない。興味があるものは片端から開く。正直下にあったストーカーの方が気になるので、このスレを少し見たらそちらを読むことにしよう。
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