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二日目。またもや見えない手に背中を押されて車道に飛び出した。結果スタントマンばりに車の上を転がって着地した。
三日目。駅のホームから突き落とされたので、即ホームに飛び上がって事なきを得た。俺の脚力をなめんな。
四日目。道を歩いていたら建設途中のビルから鉄パイプが降ってきた。直前に作業員のおっちゃんの「ファーッ!」って声が聞こえたので、見上げると同時に回避した。
で、五日目がさっきのだ。
ボールの次に植木鉢。仕掛けが二段構えになっているのがもう嫌だ。
でも今のところ大きな怪我はない。言いたかないが、自称冒険家の親父の英才教育の賜物だった。
でもさすがに、五日もこうだと気が滅入る。ああ、気分のせいか体が重いな。いつまで続くんだろうか。
頭を抱えながら家路につく。うちの家族構成は父、母、俺、弟、妹。この時間なら誰かしらはいるだろう。
そう思ってただいまとドアを開けると、大荷物を抱えた母がバタバタと玄関にやってきたところだった。
「夜逃げ?」
「違うわっ」
くわっと牙を剥いた母の蜜子は、靴を履きながら早口で言った。
「ララが部活の途中で倒れたんですって。入院することになったから、お母さん病院に行ってくるわね!」
「は⁉」
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