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―――そして夜が明けて。 脳内世界は222の魔法から解放される。―――
『……うーん……』
ライトノベル神は腕を組み、思案していた。 挨拶が鼻チューであること、それは実に素晴らしい、素晴らしいのだが。
『足りない……! 決定的に肝心なものが足りなかった……!!』
彼女はギリッと歯を噛み締める。 彼女の欲する足りないポイントとは何なのか。
それは『受け側の照れ顔』であり、『お互いの照れたリアクション』であり、そして『それでも強行する攻め側の勢い』である。
挨拶とは自然の行為だから、そこには照れの感情などないのだ。 鼻チューの行為自体は尊みの極みだが、そこに生ずるはずの『生きたリアクション』が存在しなくなってしまう……!
こればっかりは猫を睨みつけても仕方ない。 猫と人間は違うのだから。
『ふふふ……まだまだ私も、修行が足りてなかったか……!』
彼女は魔法の杖を握りしめながら誓った。 次こそはもっと素敵な魔法をふりまかなくっちゃ、と。
―――脳内世界は、今日も元気です。
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