25歳のわたし

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25歳のわたし

25歳になった。 四捨五入したらアラサーだけど、会社ではまだ若手と呼ばれる年齢だ。 でも、今私は小さい時に思い描いていた25歳の自分に、なれていない。 というか、27歳になっても30歳になっても、たぶんなれていない。明るい未来なんて思い描くことができないくらい、頑張らないといけないことが多すぎる。 仕事は残業ばかりだし、彼氏とはうまくいかないし、優秀な姉と比較しては毎日劣等感に苛まれているし、お金はないし、顔にはたくさんのコンプレックスがあるし、健康診断の結果だって気になる。 世の中は、いろんなことを言う。 「30までに結婚したほうがいい」 「子供は二人いた方がいい」 「若いのが武器になるのも今のうち」 「若い時は遊んでおけ」 「若い時の仕事で30代が決まる」 「その彼氏と結婚しないと思うなら早く別れろ」 「女も自立の時代だ」 うるせえな。黙ってろよ。 そんな強気な発言をしてたって、心の中では、そんなことわかっている。我慢、努力、忍耐。 人生ってそんなことの繰り返しなのだろうか。 大人にならなければよかった、と、思ってしまう自分が憎い。常に最高の自分を更新していたい、なんて、「前向きで明るくて、優しく強く、自立した女性」という求められた像に見せるための強がりだ。 姉の成功を喜ぶ、家族の祝福。 既読がつかない彼氏のLINE。 レッドカードの出る残業時間。 誰にも言っていない、タバコ。 私は今日も静かに、イヤホンを耳にはめてベランダから外を眺めて、少し泣く。 使い古した感傷を抱いて、下がっていく体温をただ静かに見守る。 タバコは、美味しくない。 吸わなくていいなら、吸いたくなかった。 言えなかった言葉、隠した感情、押し殺した涙、全部を洗い流してくれるような時間だ。 わたしはこの安らかな時間に、ただ依存している。 誰にも迷惑をかけない、ただ一つの方法。 幸せになるには、どうしたらいいだろう。
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