弐:紅一点

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弐:紅一点

入学式を終えて、二日が経った。 今は朝の登校の時間。 私は学校の塀を乗り越え、駐輪場の上の(ひさし)を走り、校舎の壁沿いを伝いながら、昇降口まで移動した。 校門からの正規ルートで昇降口へ向かうと、生徒達に取り囲まれてしまい、前にも後ろにも進めなくなる。 「ふぅ」 周囲に誰もいないことを確認し、下駄箱のロッカーを開ける。 ━━バサササササッ… ロッカーの中から大量の便箋が雪崩れ落ちてきた。 「…はぁ。またかよ…」 入学式の翌日からずっとこれだ。 しかし辺りを散らかすのは許せない性分(しょうぶん)なので、まとめて紙袋に入れる。 あとで全部ゴミ箱行きだ。 上履きに履き替え、教室へと向かう。 廊下の角に差し掛かろうとしたところで…。 「…うわっ!!とっとっ!!」 出会い頭に男子生徒が私にぶつかってこようと現れる。 私は半身になって()けた。 すれすれで避けられた男子生徒は、私の足元でびたんと転けた。
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