参:捜索

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参:捜索

ここは体育館裏。 「さっさと吐けコラ」 私は短ランにリーゼントという古風な()で立ちの男子生徒の襟元を掴み上げ、問い詰めていた。 「え…えっと、名前は千賀正宗(せんがまさむね)。恐ろしく腕っぷしが強いって話っす」 「だーかーらー、その情報はもう耳タコなんだよ。もっと詳しいのはねぇのかよ?」 ぎゅうっと、更に上へ持ち上げる。 「は、はひっ。俺が知ってるのはそれぐらいしか……ぐ、ぐるじい……いや…なんか気持ち良くなってきたかも…は、はぅ…あなた様のこと、姉御(あねご)って呼んでいいっすか…?」 「━━飛鳥殿!」 遠くから私の名を呼ぶ声が聞こえ、私は掴んでいる男をパッと離した。 「色々と分かってきましたよ……って、何をやっているんですか?」 駆け寄ってきた佐武は、私の足元でピクピクと昇天しそうな顔で転がる男子生徒を見下ろして首をかしげる。 ちなみにそいつの後ろにも死屍累々(ししるいるい)と何人かの男子が転がっていた。 奴らから生徒会長について聞き出そうとしたところ、やれ胸や尻を触らせろだの言ってきたので、一発ずつ打撃をお見舞いして黙らせてやったのだ。 「別に。 私なりに情報を聞き出そうとしてただけだ」 「恐喝(きょうかつ)しているようにしか見えませんでしたが…。ま、詳しくは掘り下げないでおきましょう」 「それより何が分かってきたって?」 すると、佐武はしたり顔で笑った。 「もちろん、あれですよ。 ここの生徒会長について、です」
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