参:捜索

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* 誰もいない空き教室。 佐武は教壇(きょうだん)に立ち、黒板に書いた内容を読み上げていた。 「千賀正宗(せんがまさむね)。 この千方(ちかた)学園の生徒会会長。 普段は人前には姿を現さないが、タイマンを申し込まれた時だけ姿を現し、相手をこてんぱんに打ちのめす。 今のところ全戦全勝の無敗の王」 「まるでヤンキー漫画の主人公だな」 「ま、不良高校のてっぺんに立つわけですから、その辺は致し方ない宿命と言えましょう」 そこで、佐武は「おほん」と一つ咳払いをした。 「ここまでは飛鳥殿がお調べした内容と変わりないですね?」 「そうだな。 あまり身のある情報は得られなかった」 「まぁ、そうでしょうね。 この“千賀正宗(せんがまさむね)”という名前の人物は実在しませんですから」 「え?」 さらりと言った佐武の言葉に私は耳を疑った。 「ここの校区の市役所に忍び込んで戸籍を調べましたが、そんな名前の人物は存在しませんでした」 「……どういうことだ?」 「奴は…偽名を使っているということです」 真剣な顔の佐武が答えた。
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