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「…偽名だと?
じゃあ、奴は何者なんだ?」
「━━古備前包平」
いつか聞き覚えのある言葉を佐武は静かに呟いた。
「確か、飛鳥殿が探している刀の名前ですよね?」
「ああ、そうだが…」
名前は聞いているが、それがどういう刀かまでは知らない。
「古備前包平は、かつて伊賀の三大上忍の一人であり、のちに伊賀衆と甲賀衆を率いたという伝説の忍者━━服部半蔵の愛刀と言われています」
「…服部半蔵…だと?」
「はい。
その刀は初代から代々、服部半蔵を世襲した者が受け継いでいったそうです」
「…おい…」
佐武の言わんとしている先が分かってしまった。
「…まさか、奴の正体って…」
「ええ。
おそらく相手は、飛鳥殿の父君と同じく伊賀忍の家督を継ぐ者。
━━当代、服部半蔵かもしれません」
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