9人が本棚に入れています
本棚に追加
そこにやって来たのは、長身痩躯で眼鏡をかけた優等生然とした男だった。
(…奴が風間柊か)
身構え、その挙動を見守る。
風間は鞄から財布を取り出し、自販機に小銭を入れた。
何てことはないその動作の中に私は違和感を見つけた。
(…あの鞄の中と袖の内側…)
隣の佐武が言った。
「飛鳥殿。声を掛けに行きますか」
「いや。必要ない」
「え?……って、えぇっ?!」
佐武に答える間もなく、私はスカートの中のガーターベルトから手裏剣を数個引き抜くと続けざまに投擲した。
ドスドスドス、と鈍く突き刺さる音が連続して響く。
「飛鳥殿!いきなり何やってんですか?!
…って、あれ?」
佐武はそちらを見て、驚く
私が投げ放った手裏剣が全て、風間の学生鞄に突き刺さっていた。
風間柊は、顔の前に掲げ持ったその鞄をゆっくりと下ろした。
「これはまた。随分と手荒い挨拶なことですね」
そいつは全く動じた様子もなく、優雅に微笑みさえ浮かべて言った。
「俺に何の用でしょうか?」
私はそいつの端正な顔を睨みながら、言い放った。
「━━生徒会長に勝負を申し込みたい」
最初のコメントを投稿しよう!