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すると、そいつは「へぇ?」と興味深げに笑い、ゆっくりとこちらへ近づいてきた。
私の眼前まで来て、立ち止まる。
隣の佐武が警戒して身構えるのが横目に見えた。
「君みたいな可愛い子が、ここのてっぺん狙ってるとは面白いですね」
風間は私の方へ手を伸ばし、顔に触れようとしてくる。
私はその手を払い除けるようにして腕を掴み上げた。
「てっぺんとやらに興味はない。
私はただ生徒会長と勝負したいだけだ」
「…なるほど。わかりましたよ」
風間は私の目を見ながら笑った。
「ただし、仲介料をもらわないとね」
「仲介料?」
するといきなり、風間は私に掴まれている腕を思いっきり自分の方へと引いた。
思いがけないその行動に、私はバランスを崩し、風間の方へ倒れ込む。
「…なっ…」
逃れる間もなかった。
気付けば、私は風間の腕の中にいた。
「何をする?!」
奴の腕を振りほどこうとするも、強く抱き締められていてビクともしない。
背中に回された腕が下へと移動し、
「…っ?!」
むにっと、いきなりお尻を触られた。
突然のことに頭の中が真っ白になる。
「飛鳥殿から離れろ!」
怒気の孕んだ声が響く。
佐武は素早く風間の横に立ち、その手に持つ苦無(両刃の忍具)の刃先を風間の方へ向け、威嚇していた。
風間はそんな佐武を見て、笑いながら私から離れた。
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