肆:対峙

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「なるほど。百地家(ももちけ)の」 千賀は少し感慨深げに目を伏せた。 「それにしても、奪うとは横暴だね。 いつから百地家は忍者から山賊に鞍替(くらが)えしたのかな?」 「鞍替えしたわけではない。 これについては私だけの事情だ。 その刀を奪えば、私はこの学校に通わなくても済む」 「ふぅん? この学校にいれば、俺が可愛がってあげるのに?」 「ごめんこうむる」 からかおうとしてくる相手を強く睨んだ。 けれどそいつは軽快に笑った。 「はは。君はなかなか気が強そうだね。 容姿と合わせて超俺好みかも」 「……何だと?!」 なぜか千賀のその言葉に佐武が異常に反応し、敵対心を剥き出しにしていた。 千賀はそんな佐武を意に介さず、私の方を見続けながら言葉を続けた。 「だから特別に見せてあげるよ。 君が奪いたいと言う俺のとっておきの愛刀を━━」 そう言うと千賀はブレザーの内側に手を入れ、一気にそこから何かを抜き出した。
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