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「なるほど。百地家の」
千賀は少し感慨深げに目を伏せた。
「それにしても、奪うとは横暴だね。
いつから百地家は忍者から山賊に鞍替えしたのかな?」
「鞍替えしたわけではない。
これについては私だけの事情だ。
その刀を奪えば、私はこの学校に通わなくても済む」
「ふぅん?
この学校にいれば、俺が可愛がってあげるのに?」
「ごめんこうむる」
からかおうとしてくる相手を強く睨んだ。
けれどそいつは軽快に笑った。
「はは。君はなかなか気が強そうだね。
容姿と合わせて超俺好みかも」
「……何だと?!」
なぜか千賀のその言葉に佐武が異常に反応し、敵対心を剥き出しにしていた。
千賀はそんな佐武を意に介さず、私の方を見続けながら言葉を続けた。
「だから特別に見せてあげるよ。
君が奪いたいと言う俺のとっておきの愛刀を━━」
そう言うと千賀はブレザーの内側に手を入れ、一気にそこから何かを抜き出した。
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