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私は一度目を閉じた。
「分かったよ、父さん」
迷わず頷いた。
「だけど一つだけ条件をつけさせて」
「良かろう。何だ?」
「その秘宝とやらを無事に持ち帰ることが出来た暁には、もうその高校に用はない。すぐに高校をやめさせてもらう」
むさい男だらけの高校に三年間も通い続けるなんて、ごめんだ。
「…ふむ。良かろう。
無事遂行できれば、あとはお前の好きにすれば良い」
父さんはすんなり頷き、微かに笑った。
何となくその笑みが胸に引っ掛かった。
(…何か、裏が…?)
ま、いっか。
「で、その秘宝とやらは、一体何なんだ?」
まずはそれを知らなきゃ始まらない。
「うむ。
小備前包平という刀だ」
「……刀?」
思わず聞き返してしまった。
「そうだ。長さ三尺ほどもある立派な太刀だ」
「そんなものが本当に高校にあるのか?」
「ある」
父さんははっきり断言した。
「在処は知っているが、それをお前に教えることはできない」
「…なるほどな」
捜索も課題のうち、というわけか。
「分かった。
さっさと見つけて終わらせてやるから」
「………」
父さんは何も言わず、先ほどと同じ意味深な笑みを浮かべた。
やはり、引っ掛かる…。
が、疑ったところで何も得られはしない。
私は部屋に戻り、明日からのために支度することにした。
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