壱:男子校へ入学

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壱:男子校へ入学

桜吹雪が舞い散る。 花盛りを過ぎた桜並木の下をくぐり抜ける。 「千方(ちかた)学園 入学式」の看板が立て掛けられた校門を通り抜けた。 「今時、短ランとか特攻服とか着ている人いるんだな…」 私は周りの新入生を興味深く見ながら、感心した。 「見た感じ男子校というより、ゴロツキの集まりって感じだけど」 あちこちで輪になってヤンキー座りしている集団がいたり、上級生達が今年の新入生達がどんなものかとうろうろ様子を窺っていたり。 「仕方ないですよ。 ここは全国から指折りの悪が集まる場所。 入試も名前さえ書けば誰でも合格できるって噂ですし」 「…ふん。なるほど」 と頷いてから、ふと声のした方を見やる。 いつの間にか私の隣には人当たりの良さそうな男子生徒が立っていて、好意的な微笑みをこちらに向けていた。
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