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「だが、なぜお前がここにいる?」
「ああ。
それは飛鳥殿の父君に頼まれたからですよ」
「頼まれた?」
「はい。
このような札付きの悪が集まるところに飛鳥殿を通わせるわけですから、父君も心配だったんでしょう。
飛鳥殿に悪い虫がつかないように、と護衛を仰せつかりました」
「余計なお世話を…」
「ですからこの藤林佐武、全力で飛鳥殿をお守りする次第ゆえ…」
「断る」
「そんなぁ。一瞬で切り捨てないでくださいよ…」
「お前に守られなくても、自分の身ぐらい自分で守れる。
たかが男子校にいるぐらいで大げさなんだよ。
こんな場所にそんな危険なんかあるわけないだろ」
「危険です!危険すぎます!」
佐武はなぜかえらい剣幕で詰め寄ってきた。
「飛鳥殿はご自身の美しさがいかほどのものか気づかれてないんです!
…ほら。見て下さい、飛鳥殿に集まる衆目を!」
そう言って、私に周囲を見るように目配せしてきた。
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