出会いと災難と(下)

5/21
前へ
/126ページ
次へ
来客が来たのだと和室に引っ込んでいた愛が、2人の会話で聞こえたピザのワードにひょっこりと顔を出した。 「ーピザきたの!?」 ドタバタと玄関まで来ると、ピザの袋に釘付けの愛にクスクスと笑うみのり。 「ー上がってもいい?」 「ーどうぞ。」 宙がキッチンにある、ダイニングテーブルにそれを置くと、ピザに釘付けだった愛が宙を見て驚愕した。 「うわぁーー!そらだ!」 愛の突然の大声にピクリとした2人だが、愛の瞳を見るとまるで、アイドルのファンのように爛々としていた。 宙は愛の目線までしゃがみ込むと、頭を撫でてあげた。 「愛、ただいま…」 「ひゃあっ、そらだ!おかえり!」 なんとも無邪気な我が子の姿は微笑ましく、 宙は小さな体をギュッと抱きしめた。愛は黄色悲鳴に似た声を上げていたが、嬉しそうに抱きしめ返していた。 「かわいすぎ…」 「かわいい?」 「うん、ママに似て可愛いよ。」 「えへへ、」 「ー早く食べようよ。」 愛にとってはテレビでよく観る人物なだけで、ここまで気を緩すものだろうかと見ていたみのり。せっかくの3人でのだんらんを楽しむため様子を見守っていたが、宙からの可愛い攻撃に恥ずかしくなり、気を逸らすようにツンと言って、飲み物の準備をする。
/126ページ

最初のコメントを投稿しよう!

294人が本棚に入れています
本棚に追加